中国ではブランド品に見せかけた服やかばん、靴などあらゆる分野で偽物が出回っています。

以前北京にいたころ、卸問屋で面白いポロシャツを見かけた事があります。

バーバリーの色と柄だったので本物かと思ったのですが、なんと胸にはポロ・ラルフローレンのマークが付いています。

この時点でこのポロシャツが偽物だということが判明したのですが、これでもかと言わんばかりに、首のラベル表示にはイブサンローランのマークが付いています。

これぞ「ザ・中国」っといった感じで、おかしくて吹き出しそうになってしまいました。

面白がってこのポロシャツを見ていると、店員が近づいてきて熱心に売り込みます。

このポロシャツはどのブランドなのか尋ねると、ラルフローレンだといいます。
イブサンローランじゃないのかと突っ込むと、イブサンローランのラルフローレンだと真面目な顔をして返してきます。

さらに突っ込もうとしましたが、もしかするとお店の人はこの商品がどういうものか本当に知らずに売っているのかもしれないと思ったら、なんだか逆に気の毒にも思えてきてきました。

こんな感じで、とりわけ卸問屋や個人店などではしょっちゅう偽物が流通しています。

最近も友人と買い物をしていた時のことです。
たまたま店先に本日の目玉商品で、黒人の顔のラベルの歯磨き粉が安く売られていました。

友人がそれを買ってさらにお店を見回すと、ヘアカラーもかなり安く売られています。

それも特売だったらしく買い求めました。
結局彼女はスーパーで買うより安い商品を幾つか見つけて買い求めました。

彼女としては安い買い物が出来たのでたいそう喜んでいたのですが、それもつかの間、別のお店で話し好きの店員が彼女のぶら下げているヘアカラーを見て、自分のお母さんも同じのを使っていると言い出します。

そこで彼女が近くの店で激安だったんだけど、本物かどうかちょっと見て欲しいと言ってその商品を袋から取り出しました。

その店員は見るなり
「这是假的。zhè shì jiǎde 。」(これ、偽物だ)
と言います。

どうして偽物だと分かるのか尋ねると、本物の商品なら箱にあるマークが付いているらしいのですが、それにはそのマークがありません。

・・・とすると、中身ももちろん偽物という訳です。
こんな風に中国には偽物が出回っているので、だます人もいれば、まんまとだまされてしまう人もいるのです。

しかもこんな身近にだまされる人がいるなんて、なんだか何ともいいようがありません。

中国ではスーパーなどはレシートがあれば返品も効くのですが、個人店などでは一度売った商品はほぼ返品出来ません。
つまりだまされたら泣き寝入りという場合が多いのです。

中国人の面白い口癖とは・・・

こんな感じで偽物に囲まれて育った中国人には面白い口癖があります。

ある時アメリカからきた友人が中国の友人に自分の生まれ育った地域の景色の写真を見せています。

そこには澄み切った湖に、雪を頂いた雄大な山の景色が映っています。
まるで絵葉書のような美しい景色です。

すると中国人の友人が、
「这个假?还是真的?zhège jiǎ? háishì zhēnde ?(これって、偽物?それとも本物?)
と聞くのです。

環境汚染がひどい中国では川の水も茶色く濁り、空気も汚染で霞んでいるので、そんな美しい環境を見たことがないからなのかもしれません。

見るもの全て、まずは偽物と疑ってかかるというのは中国人ならではだと感じる瞬間でもありました。