急速な経済発展を遂げている中国ですが、経済格差は否めません。
最近は随分見かけなくなりましたが、今でも道端で物乞いをしている人がいます。
もちろん本当に困って物乞いをしている人もいると思いますが、聞くところによると後ろで黑社会hēi shèhuì(ヤクザ)が関わっている場合もあるそうです。
経済格差があれば当然教育においても格差が見られます。
中学校を卒業するかしないかで社会に出る人も少なくありません。
学歴が低いと就ける仕事も限られてしまいます。
もちろん人によっては特別の才能を持っていて商売で成功を収める人もいます。
それでも貧困層から抜け出せず、貧困が貧困を生むというサイクルにはまってしまう場合も少なくありません。
中国では教育背景とマナーがかなりの程度一致しています。
つまり、教育背景によっては当たり前と思えるようなマナーさえ教えられずに社会に出るので、公共の場で礼儀をわきまえない行動を取って周りに迷惑をかけてしまいます。
当然マナーを意識している人達にとってはそうした行動はうれしいものではありません。
例えば、うちのマンションでエレベーターの入り口にゴミを置きっぱなしにするという大変マナーの悪い行動がありました。
マンション側が警告の張り紙を貼って、ようやくゴミがなくなったのですが、ここ数日また同じことが生じました。
夏なのでかなり悪臭を放ちます。
エレベーターから出てきた人も
「臭~。chòu~ 」(臭~い)
と言ってかなり嫌そうにしていました。
また、別の日に外から帰って来てエレベーターを待っていた時のことです。
やっと降りてきたエレベーターに 先に一人の男性が乗ったと思ったら、次の瞬間には扉が閉じてしまいました。
乗ろうとしていた私たちは、中の男性が扉を開けてくれるものと思ったのですが、残念ながらエレベーターはそのまま上って行ってしまいました。
するとすぐにそばにいたおじさんが
「没有爱心・・・。méiyǒu ài xīn ・・・。」(愛がないなぁ・・・。)
とポツリとつぶやきました。
中の男性が礼儀がなくて故意に扉を閉めたかどうかは分からなかったので、うちの主人もそのおじさんに、
「不要紧,马上下来吧。búyàojǐn , mǎshàng xiàlái ba 。」
(気にすることないよ、すぐ降りてくるから。)
と言ってなだめたのですが、常識のある人は自分勝手と思える礼儀のない行動をやはり残念に思うようです。
常識があれば認める-「认可」
先日、自営業を営んでいる中国人の友人のところに遊びに行った時のことです。
顧客が不満の電話をかけて来て電話口で何やら怒鳴っています。
どうも注文した商品が工場とのやりとりの関係でかなり遅れているようです。
こればっかりはどうにもならないのですが、相手があまりに怒っているのでお店のご主人もコリゴリして、慰謝料を払うから勘弁してくれと言って電話を切りました。
程なくして電話で話していた顧客がのうのうと慰謝料をもらいにきました。
相変わらず怒っていましたが、お金を受け取って出て行く際にひと言、
「可是,你们的态度,认可啊。kěshì , nǐmen de tàidu , rènkě a 。」
(だけど、あなた達の態度は認める。)
と言って出て行きました。
なんだかんだケチをつけたとしても、相手の誠意ある対応は感心して認めていたようです。
普段礼儀があまり見られない地域でも、良識ある人は礼儀のある行動に反応し認めることを知って、ちょっとホッとしました。