中国では小学校に上がる前の子どもたちは大抵小名xiǎomíng(ニックネーム)をつけ、家族や友人など親しい間柄ではその子を小名xiǎomíngで呼びます。
ちなみに小名xiǎomíng(ニックネーム)に対して本名は大名dàmíngと言います。
小名xiǎomíngは大抵リンリン、ランランといったように言葉を重ねた表現で表します。
大抵は大名dàmíngの一番後ろの漢字をとって繰り返すようですが、表現しやすいように大名dàmíngとは別の漢字を当てる場合もあります。
人によっては特に小名xiǎomíng(ニックネーム)を付けずに子どもを「宝贝bǎobèi」と呼ぶお母さんもいます。
宝贝bǎobèiとは「私の可愛い赤ちゃん」というような意味ですが、英語で言うところの「ハニー」にも相当します。
その為大きくなった子どもや恋人に呼びかけるときにも使うことがあります。
実際私の友人も大学生の娘さんからの電話を受ける時に
「宝贝,怎么啦?bǎobèi , zěnme la ?」(ハニー、どうしたの?)
と言っていました。
赤ちゃんに呼びかけるときだけ使うわけではないことが分かり、その時はちょっと驚きというか発見でした。
この点では同じ東洋の国でも日本と中国との国民性の違いを感じます。
中国人は比較的ストレートに感情を表現します。
最近も春節のテレビの番組で、田舎に帰れなかった人が田舎の家族に向かってひと言メッセージを求められると大抵、
「我爱你wǒ ài nǐ」とか「我爱你们。wǒ ài nǐmen」(愛してるよ)と言っていました。
「宝贝bǎobèi」にしても「我爱你wǒ ài nǐ」にしても相手に対する感情をストレートに言い表す表現です。
子どもへの愛おしさが伝わってくる表現「宝贝」
私の友人に9ヶ月になる赤ちゃんのいるお母さんがいます。
赤ちゃんの泣き声でミルクなのかオムツなのか、あるいは眠いのかを察してお世話します。
そんな時彼女は赤ちゃんのニックネームではなく「宝贝,宝贝bǎobèi,bǎobèi」と呼びかけます。
「宝贝bǎobèi」という表現でお母さんが赤ちゃんに呼びかける時には本当に愛おしいという気持ちが伝わってきます。
もちろん赤ちゃんに伝わっているかどうかは定かではありませんが、きっと声の調子で除々に分かっていくのでしょう…。
一昔前は子どもはおじいさんとおばあさんが面倒をみて、若い人はせっせとお金を稼ぐというのが一般的な生活スタイルでした。
それでも時代とともに自分の子どもは自分で育てたいという若い世代も増えているようです。
子育てそのものは大変でも、自分で子どもの成長を見守れるというのは確かに貴重な経験です。
そんな彼女達が赤ちゃんに「宝贝bǎobèi」と呼びかける時、そのことの大切さを自ら思い起こしているようにも感じられます。
街を歩いていて、若いお母さん達が赤ちゃんに「宝贝bǎobèi」(私の可愛い赤ちゃん)と呼びかけているのを聞く度に、いい表現だなと感じています。