中国に初めて足を踏み入れた頃の印象はかなり刺激的というか衝撃的でした。
到着した当日、北京の空港から高速道路で友人の家に向かったのですが、運転手はどこのインターで降りたらいいのか迷ったのか、いきなり高速道路で車を停めて地図を調べ始めたのです。
かなりの冷や汗ものでした。
幸い何事もなく友人の家にだどりつけたので、ホッとしました。
中国生活がはじまり、新たなことが毎日のように目に飛び込んできて、始めは驚きの連続でした。
そのうち除々に怒りの気持ちからあきらめの気持ち、さらには何とも思わなくなるほどにまで免疫?ができてしまいました。
とりわけ中国人の交通マナーと公共心の欠如には唖然としました。
たとえば中国では、バスに乗る際に並んで乗るという習慣がありません。
そのためバスが来るとみんな一斉に我先にバスの入口へと向かうので大混乱になります。
ある時など、乗ろうとした際に蹴飛ばされたことすらあります。
そんなわけで交通ルールも大して守りません。
横断歩道は赤信号で渡った方が安全だという錯覚を覚えそうになるほどです。
交通ルールを守ったり道を譲るというマナーを示す人が少ないので、しょっちゅう事故や渋滞も生じます。
日本では子どもの頃から左右をよく確認してから道を渡るように教えられますが、中国ではそうした習慣はなく、細い道から大きな道に出る場合にも前方有るのみと言った感じで、車もバイクも飛び出してきます。
ぶつかったらぶつけた方が悪いという考えなのでしょうか…?
また、中国では大きい物が強いという意識があるので、車が人に道を譲ることはほとんどなく、どんどん突っ込んできます。
もちろん公共の乗り物であるバスでさえ、横断歩道を渡っている人に道を譲るなんてことは滅多にありません。
文明国らしく「文明出行」
それでもここ最近、中国でも経済的な発展に伴って国民に対して、文明国らしく礼儀を意識するよう働きかける動きもあります。
そのため交通整理をする警察が交差点に必ずいるようになり、赤い帽子をかぶった緑のおばさん的な人が旗を持って交差点の四隅に立っています。
その旗には
「文明出行wénmíng chū xíng」(礼儀正しく行きましょう)
と書かれています。
また、警察も時々キャンペーンで取り締まりを強化することがあって、捕まると罰金を課されます。
それでも中国人の人口が多すぎて取り締まりきれないといった感じで、キャンペーンが終わるとまた元の状態に戻ってしまいます。
警察も悩めるところでしょう。
親や祖父母が交通ルールやマナーを守らないのですから、「文明出行wénmíng chū xíng」(礼儀正しく行きましょう)という意識を人々の間に根付かせるにはかなりの時間がかかりそうです。