中国語学習の早い段階で学ぶ否定の表現「不」と「没」ですが、けっこう混乱する表現でもあります。

どんな時に「不」を使い、どんな時には「没」を使うのか、と思っている中国語学習者は少なくないことでしょう。

私も最近この表現で失敗してしまったので、もう一度確認してみることにしました。

まずは「不」についてです。

①「不」は動作の否定で動詞にも形容詞にも使えます。
②習慣的な動作の否定の際に用います。
③現在または将来に行う動作を否定する時に使います。また、意識的にしない場合の否定にも用います。

お次は「没」です。

①「没」は状態の否定で動詞しか否定出来ません。
②過去に行われなかった動作の否定や、完了していない場合の否定に使います。
③「不」が意識的な否定を表すのに比べ「没」は客観的な状況を表すのに用います。

「不」と「没」の使い方具体例

例えば授業が始まったのにとなりの席の李さんがまだ来ていません。そこで
「小李还没来xiǎo lǐ háiméi lái」(李さんまだ来ていないな)
と言うと、後ろの席の生徒が
「他今天不来,因为他生病了tā jīntiān bù lái , yīnwèi tā shēngbìng le」(彼、今日は風邪を引いたから来ないよ)
と答えます。

この場合、はじめに李さんが来ていないという客観的な状態を述べているので「没」を使っています。
それに対して後ろの生徒は彼が今日は来ないという現在の否定の表現「不」を用いて答えています。

別の状況を考えましょう。
中国ではあいさつの言葉として食事をしたかどうかと尋ねる習慣があります。

朝食を食べたかどうか聞かれた際に自分は朝食を食べる習慣がなければ、
「我不吃早餐wǒ bù chī zǎocān」(朝食は食べないんです)
と答えます。

また、普段は朝食を食べるけど、まだ食べていない場合にはまだ行われていない、完了していない場合の否定なので
「还没吃háiméi chī」(まだ食べてない)
ということになります。

では、友人と話をしていて、彼女が20年前に買った服を今でも着ていると言います。そこで体型が変わっていないことを表現する場合は「不」と「没」のどちらを使ったらいいのでしょうか。

この場合は状態の否定なので
「你的身材一直没变,是吧nǐ de shēncái yīzhí méi biàn , shì ba」(じゃ、体型がずっと変わってないってことなんだ)
で「没」を用います。

こうして一つ一つ考えるとなんとなく分かるのですが、普段の会話ではじっくり考えて答える暇はありません。

間違えを恐れて話さないよりは、間違えることでどういう場合には「不」でどういう場合に「没」なのかを学び取ることができるので、とりあえず思ったとおりに言葉にしてみましょう。
きっと親切な中国人なら間違えを指摘してくれることでしょう。