以前中国の大学の对外汉语のクラスに通っていた時に使っていたテキストに面白い内容が取り上げられていました。

中国語を学んでいる欧米人が中国人と知り合って、その中国人が今度近くに来ることがあったら、是非家に遊びに来るようにと言って名刺を渡して別れます。

その欧米人はその言葉を真に受けて、その人の家を訪ねると、中国人はとても驚いて、いったい何の用事で来たのか、と尋ねるというエピソードです。

この話には中国の文化と欧米の文化の違いが表れています。
欧米人はYESと言ったらYESですし、NOと言ったらNOで言葉通りに解釈します。

中国にもある建前と本音に似た価値観

この点中国人は日本人のタテマエとホンネ的な表現を用いる事があります。

私も中国に来たばかりの頃、こうした中国の習慣をよく知らなかった為に誘いの言葉を真に受けてしまったことが何度かありました。

逆に中国人はこうした習慣があるためかはじめのうちはかなり遠慮します。

例えばこちらが何かをごちそうするような場合、何度も食べるように勧めてやっと手をだすという具合です。

最近もこんなことがありました。

簡単な食事を作ったので一緒に食べていくように中国人の友人に勧めると、何度か遠慮したあとやっと、
「那么,我不客气。nàme , wǒ búkèqi 。」(それじゃ、遠慮なく。)
と言って誘いを受け入れて一緒に食事をしました。

そういえば中国人の友人の家に行った時にも似たようなことがありました。
その友人が果物をふるまうと一緒にいた中国人ははじめのうちは遠慮しています。

それでも、
「不用客气,你吃吧。búyòng kèqi , nǐ chī ba」(遠慮しないで、さぁ食べて。)
と何度か勧められてやっと、

「不客气啊。búkèqi a」(遠慮なく。)
と言って食べ始めました。

どうもこれが中国式の礼儀のようです。

その土地の文化を知ることも、その土地の人々とうまく付き合っていく上で大切だと感じる今日このごろです。