今年は韓国船の沈没事故に始まって、飛行機事故も相次ぎ、突然愛する家族や友人を失った方々の無念さを思うと心が締め付けられる思いがします。
マレーシア航空の事故では乗客に中国人が多かったこともあって、テレビのニュースでは連日のように報道されていました。
残念ながら未だに詳しい情報がつかめていないというのが事実です。
普段、中国人はかなりはっきり物事を表現する傾向があるので、曖昧表現の多い日本語との違いを感じることがあります。
それでも中国語にも日本語と同様で忌み言葉や婉曲表現があります。
例えば数字の「四sì」は「死sǐ」と同じ発音なので嫌います。
日本でも部屋番号に4がない建物がありますが、中国でもときどきそうした建物を見かけます。
また、日本でも人に贈り物をする場合、4つではなく5つにすることがありますが、中国でもそのような傾向があります。
中国語での婉曲表現
忌み言葉としてはやはり「死sǐ」という言葉があります。
そのため誰かが亡くなった時にも婉曲表現を使います。
例えば、少し前に友人と会う約束をしていたのですが、その前日にその友人から連絡がありました。
「今天我奶奶去世了。所以我要回老家了。jīntiān wǒ nǎinai qùshì le 。 suǒyǐ wǒ yào huílǎojiā le 。」
(今日おばあちゃんが亡くなったから実家に戻らないといけないの。)
とのことでした。
「去世了qùshì le」という表現は人が亡くなったことを伝える最も一般的な表現ですが、世を去るという婉曲表現です。
また、昨年のことですが、友人のお父さんが具合が悪くて入院していることを聞いていました。
友人も度々呼び出されては病院に駆けつけていたので,状態がかなり悪いことが分かりました。
一時は持ち直したようですが、その後間もなく亡くなられたようです。
しばらくして、友人の娘さんに会ったので、おじいさんの具合を尋ねると
「我爷爷已经不在了。wǒ yéye yǐjīng búzài le。」
(おじいさんはもういない(亡くなった)んです。)
という返事が返ってきました。
やはり直接的に「死了sǐ le」(死亡した)とは表現しないのです。
また、別の時に友人と最近起きた飛行機の事故について話していました。
ニュースで乗客全員が亡くなったことが報じられていたことを彼女は、
「一个也没有生还。yī gè yě méiyǒu shēng huán。」(一人も生還した人はいない。)
という表現を使って表現していました。
このように中国語では人の死を伝える場合に婉曲表現を用います。
国や文化が違っても人の死は受け入れがたいもので、表現することすら避けたいという気持ちは変わらないことを痛感しました。