中国は大変広いので地域によって人々の暮らしや考え方、価値観もかなり違います。
これは中国の人口の十分の一の小さな島国日本でも言えることでしょう。

一般に東北地方の人は勤勉であるとか、南の人は気質が穏やかなどと言われます。
もちろん、個々の人の気質は一律でないのは確かです。

私たちが住んでいる地域の人々は比較的気質が穏やかでのんびりしています。

初めて住んだ北京でよく耳にした言葉が
●「快点儿,快点儿kuài diǎn ér , kuài diǎn ér」(速く、急いで)
であったのに対して、この地域では
●「不要紧,慢点儿búyàojǐn , màn diǎn ér」(構わない、ゆっくり)
という言葉である事からも人々の気質の違いが分かります。

そんなわけもあってか、この地域では特に時間に関してルーズな傾向があります。

もちろんバス停には時刻表というのがないので、いつ来るかわからないバスを待つ時間や、しょっちゅう起きる事故で交通が麻痺してしまうなど、かなり時間の余裕を持って出ても先が見えないこともよくあります。

いずれにしても地元の友人と待ち合わせて、相手が時間より前に来ているなんてことは滅多にありません。

30分、時には一時間近く待たされることもあります。
またそんな場合でも前もって自分から連絡してくることはあまりありません。

こちらが連絡して初めて、今バスの中だからもう少し時間がかかるなどと言います。

それなら前もって連絡して欲しいと思うのですが、これもやはり彼らにとっては面子の問題があるのでしょう。

こうして遅れてきた場合、まずは相手を待たせたことを詫びる言葉を聞きたいと思うのは、私が日本人だからなのでしょうか・・・?

大抵、まずは言い訳から始まります。
人によっては謝る代わりに何かをおごるなどの形で償おうとする人もいます。
これもやはり面子が関係しているのでしょう。

そんなわけでいいのか悪いのか、最近は待たされることを見越して、何か読み物を持って行ったりして待機する時間を有効に活用するようにしています。

「時は金なり」に基づく中国語表現

最近、近くの大学をたまたま通った際、一人の学生が携帯電話の相手に
●「那,你浪费我的时间了nà , nǐ làngfèi wǒ de shíjiān le」
(それじゃ、君は僕の時間を無駄にしたってことだよ)
と言っているのを耳にしました。

時間で待ち合わせていたのに相手が現れず、結局相手は来れないということだったのでしょうか、詳しいことは分かりません。

いずれにしても、確かに待たされる人からすれば、相手に自分の貴重な時間を無駄にされたという事になります。

日本のことわざにも「時は金なり」というものがありますが、この若者の言葉はまさに時間は貴重で有効なものなので、浪費してはいけないという考えに基づく表現です。

思わずどんな状況かは分かりませんが、
「そうだ、そうだ、時間は貴重だからね。」と心の中で思ってしまいました。

時間にルーズなように思える地域でもこういう考えを持った若者がいることを知って、なんだかちょっと安心し心癒されるのでした。