中国の大学には本科の他に留学生を対象とした对外汉语学院duìwài hànyǔ xué yuànという中国語を学習するためのクラスがあります。

私が通っていた大学には6つのクラスがあり、1,2班は初級クラス、3,4班は中級クラス、5,6班は上級クラスでした。

はじめに筆記試験と教師との面接があり、現在の中国語の能力に応じてクラス分けされます。

例えば中級クラスの場合、授業は语法yǔfǎ(文法),听力tīng lì(ヒアリング)口语kǒuyǔ(会話),阅读yuèdú(朗読)の4つの分野があり、多方面から中国語を学び強化することができます。

興味深かったのは文法の授業で教師が採用していた方法です。

はじめに新たな単語を学んだ後、テキストの内容に沿って大切な文法をピックアップしながら一文ずつ読み進めていきます。
同時に本文の内容も確認していきます。

その後その日に学んだ範囲を生徒に練習させ一文ずつ割り当てて、テキストを見ずに言わせます。

つまり文法を学ぶ際にそのテキストの本文をほぼ暗記させるという方法を取るのです。

暗記と繰り返しで短期記憶を長期記憶に

これは人間の記憶能力を用いた学習法の一つでワーキングメモリという人間の作業記憶記能力を活用した学習法です。

ワーキングメモリとは、情報を一時的にとどめながら作業を進めていく際に働く人間の記憶能力のことです。

この短期的な記憶をとどめる容量には限界があると言われていますが、トレーニングによって容量を広げることができるとも言われています。

その日に学んだことを暗記させ、さらに日を置いて反復させる、という仕方で一つの課を学び終えるまでに何度も暗記と繰り返しを用いて長期的な記憶に変換させていくというわけです。

実はこの方法で教えられた文法やテキストのフレーズを日常生活の中で用いる事によって学んだことが除々に身につき、長期的な記憶としてとどめられていった経験を何度もしました。

テキストを丸暗記する方法は遠回りなようではありますが、大学で採用されているからにはそれなりの効果があることを身をもって感じたという訳です。

授業の場合、学んだフレーズを覚えているか、半ば強制的な発言の機会があるので、そうした緊張感も暗記する努力を傾ける助けになりました。

つまり、その日の授業で学んだ内容を家で何度も耳から聞いて、自分で話して、次の授業までにできる限り暗記するようにするのです。

語学学習には暗記は欠かせませんし、繰り返しは記憶を助けます。

テキストの内容を繰り返し聞いて話して暗記し、学んだフレーズを生活の中で使う機会を探して使えば、除々に中国語力がアップするのを実感することでしょう。