中国ではスリや泥棒が多く、防犯には余念がないようにしておく必要があります。

例えば自転車、軽いのでカギを掛けてさらにワイヤーの鍵をつけていても、簡単に持って行かれてしまいます。
私の友人の中にもメーカーの自転車を盗まれた人が何人かいます。

あえて中古の自転車を買う友人もいます。
また、新しい自転車は狙われやすいので、新車を買ったらわざとテープなどでグルグル巻きにしてまるで使い古したようにしている友人もいます。

中国には日本の50CCバイクのような大きさの電動バイクというのがありますが、これもタイヤに太いワイヤーのカギをかけておかないと、けっこう簡単に持って行かれてしまいます。

銀行でお金をおろしているわずかの時間なのでワイヤーのカギを掛けなかったら、案の定そのわずかの隙にバイクを持って行かれてしまったというような話しはよく聞きます。

また、留守中に泥棒に入られた友人も何人かいます。
中国では殺人は即死刑なので、強盗というよりはやはり金目の物だけ狙う泥棒が多いようです。

日本でも年末には犯罪が増えますが、やはり中国でも春節の前は泥棒が増えるので十分の警戒が必要です。

それでも最近の中国のマンションは防犯も強化されていて、オートロック式のマンションも増えています。

また、マンションによっては玄関に24時間体制の保安bǎoān(警備員)がいます。
そして、マンションの窓やベランダには外から入れないような格子が付いています。

少し前のことになりますが、うちのマンションの斜め下の人の部屋はベランダに出るドアにも鉄格子がついています。

どうもそのドアは防犯のため、ベランダからは開けられないような仕組みになっているようです。
独身中年と思われるその住人もそのことはよく承知だったと思います。

ある日の夕方、干し物を取り入れるためにベランダに出ると、斜め下の人がなにやら叫んでいます。

まさか私に向かって叫んでいるとは思いもよらず、干し物を取り込んで部屋に戻りました。

するとその人が今度は別の誰かに向かって大声で、
「我锁上了,我锁上了。wǒ suǒ shàng le , wǒ suǒ shàng le 。」
(カギが閉まった、カギが閉まっちゃたよー。)
と叫んでいます。

どうもベランダに出た時に何かの拍子でそのドアがしまってしまい、外からは開けられないためベランダに閉じ込められてしまったようなのです。

カギ屋さんに連絡して玄関の鍵をこわすべきか、どうして欲しいのか本人に確認するため主人にベランダに出てもらうと、なんともうその人はベランダにはいませんでした。

まさか飛び降りたのではと一瞬焦りましたが、どうも何かの仕方でそのドアを開けることが出来たようです。

数日後、その人が普通にベランダで干し物をしているのを見かけて、無事だったことを知って安心しました。

防犯とは言え、自分が閉じ込められて「锁上了suǒ shàng le」(カギが閉まった)だなんて、なんだか不思議なことがいっぱいの中国です。