中国に来てびっくりしたのは料理に使う油の量の多いことです。

中国人の友人の家に呼ばれた際、いわゆる家庭料理を学ぼうと思って彼女の作る料理を見ていたら、驚くほど油を使います。

例えばおひたし、日本なら青菜をお湯にくぐらせますが、中国では沸騰したお湯に油を入れて沸点を高くしてから青菜をくぐらせます。

こうすることで青菜が色よく仕上がるのです。
また、スープにも最後に油を入れます。

私もスープの香り付けにごま油をたらしますが、中国では「たらす」というよりは「注ぐ」といった感じでとにかく入れる量が違います。

こんな風に何でも油を使うので中華料理は脂っぽいという印象があります。
特に外食の炒め料理はかなり油腻 yóunì(脂っぽい)です。

また地域によっては辛いのが好きで何でも唐辛子が入っています。
とりわけ湖南省の人達は辣là(辛い)のが大好きです。

以前マンションの隣に住んでいた友人も湖南省出身でした。
彼のおごりで友人達と食事に行くと、なんと全て辛いものばかり注文します。

彼のおごりなので文句は言えないのですが、その辛いことと言ったら尋常じゃありません。

胃が燃えるような感じって日本ではなかなか経験しないと思いますが、本当にそういう感じなのです。

今住んでいる地域の料理は酸辣 suān là(酸っぱ辛い)ものがけっこうあります。

日本人の男性で酸っぱいのが苦手な人って比較的多いように思いますが、この地域の男性は酸っぱ辛いのが大好きです。

最近は中国人の中にもメタボを心配して油を控えめにしたり味を淡味dàn wèi(薄味)にするように気を付けている人たちもいます。

中国人の友人から日本人の料理は薄味だと言われたことがありますが、いわゆる日本食って意外と醤油を使うので咸xián(塩っぱい)ものも多いように思います。

それなので私も極力塩分は控えめにしたいと思っています。

簡単にまとめると味覚を表す表現にはこんなものがあります。

●油腻yóunì…脂っぽい
●辣là…辛い(辛さにも酸辣 suān là(すっぱ辛い)や、麻辣má là(山椒が効いたしびれる辛さ)などもあります。)
●甜tián…甘い
●酸suān…酸っぱい
●苦kǔ…苦い
●咸xián…塩っぱい
●淡味dàn wèi…薄味
●浓nóng…濃い

隠喩として用いられる味覚表現

ある日買い物から家に帰る途中、小さな店が建ち並んでいる通りを歩いていると、小さな腰掛けに座っておしゃべりをしている30代位の女性たちの会話が耳に入ってきました。

一人の女性が
「…好像生活没有味道的人」(まるで味気のない生活を送っているような人)
と語っていました。

日本語だと似たような表現としては「生活に彩りがない」という表現があります。
所変われば表現の仕方にも違いがあるのは興味深いと思いました。
食を大事にしている文化ならではの表現なのでしょうか。

他にも中国語で味覚を表す表現を並べて「酸甜苦辣」は実際の意味としては(酸っぱい、甘い、苦い、辛い)ですが、人生を例える時の表現としても使われます。

何かの主題歌で「♪人生楽ありゃ苦もあるさ~」というフレーズがありましたが、人生の山あり谷ありを表現した中国語表現です。