中国の都市部では日本のような一軒家はほとんど見かけることはなく、大抵高層のマンションが立ち並んでいます。
それはやはり日本の10倍かそれ以上の人口を抱えている中国の人口の多さならではといえます。
私達が借りている賃貸マンションもやはり高層マンションです。
そのためもちろん出入りには毎回エレベーターを利用します。
日本の都市部のマンションでは、同じマンションに住んでいてもエレベーターで話し掛けられたり話し掛けることはあまりないでしょう。
この点中国のマンションでは高い確率でエレベーターに乗り合わせた人が話しかけてきます。
特に外から戻ってきた時にエレベーターで一緒になると、同じ空間に住んでいるということで安心感のような親近感のようなものを感じるのかもしれません。
また、除々に人との関係が希薄になってきている都市部とはいえ、やはり人とのつながりを求めたい気持ちの現れなのかもしれません。
これが年配者だけでなく、子育て中のお母さんであったり、独身の若い女性であったりいろいろです。
エレベーターでも気軽に話しかけてくる人たち
最近も週末に買い物から戻ってエレベーターに乗ると、中年の男性が二人乗ってきました。
痩せた方の人が何本か栄養ドリンクを抱えていて、一本4元だったけど高いのかどうかと太った相方に尋ねながらもこちらの方にも視線を向けてきます。
私は買ったことがないので高いのかどうかよく分からずとりあえず首をかしげてみせます。
すると今度は太った相方がそんなものばっかり飲んでないで、自分みたいに健康にいいお茶をもっと飲むようにと説教を始めるですが、その体型からするとあまり説得力がありません。
その二人のやりとりはまるでコントのようで吹き出してしまいそうになります。
こんな感じでたかがエレベーターに乗るだけでも面白いことがいろいろ待ち受けているのが中国です。
重量オーバーの際にあがる「超了」コール
しかもこのエレベーターがまたしょっちゅう故障します。
普段二機稼働しているのですが、一機故障すると通勤通学の朝の時間などは大変なことになります。
高層のマンションなのでみんなさすがに階段を使うのは敬遠します。
そしてここでもやはり中国の人口の多さを感じます。
すぐに重量オーバーでブザーが鳴ってしまうのです。
するとすでにエレベーターの奥に乗っている人たちが
「超了、超了chāo le、chāo le」
と叫びます。
この「超了chāo le」とは「超重chāozhòng」(重量オーバー)「超载chāozài」(積載量オーバー)の略語です。
奥の人達からこの「超了chāo le」コールがあがると、入り口付近にいる人達はけっこうすんなりとあきらめて降ります。
さらに途中の階で人が乗ってきてまたブザーが鳴り、またまた「超了chāo le」コールが奥からあがると、乗ろうとしていた人は大抵苦笑いしてすぐにあきらめて降ります。
日本でマンションのエレベーターが故障することなど滅多にありませんし、あったとしても迅速に修理されることでしょう。
でもこの地域では故障は日常茶飯で、しかも修理まで早くて一週間、長くて一ヶ月かかることもあります。
そんなわけで怒ったところでどうにもならなというあきらめの気持ちからなのかもしれませんが、この地域の人達は意外と辛抱強いところがあって感心します。